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【コラム】子宮頸がんワクチンの効果はどのぐらい続くの?
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)は現在、日本では小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に、定期接種として公費で提供されています。
しかし、早期に接種を受けた場合、その効果が成人以降も持続するのか、また将来的に追加接種が必要になるのかといった不安の声も少なくありません。
今回は、そんな子宮頸がんワクチンについて国内外の研究報告や添付文書の情報をもとに、持続効果と再接種の必要性について解説します。
ワクチンの種類と持続期間
現在、日本で承認されているHPVワクチンには「2価」「4価」「9価」の3種類があります。
2025年現在は、これら全ての種類が定期接種として公費で接種できるようになりました。
以前は2価(サーバリックス)および4価(ガーダシル)のワクチンが定期接種の対象でしたが、現在は9価ワクチンが標準となっています。
そのため、すでに2価・4価ワクチンで接種を終えた方もいれば、9価ワクチンを選択して接種されている方も増えているのが現状です。
一つの病気に対して、複数の選択肢があるというのは少し珍しいように思われるかもしれません。
これらのワクチンは、それぞれ持続期間も異なるという特徴があります。
HPVワクチンの効果の持続期間
HPVワクチンはその種類によって、効果が持続するとされる期間に差があります。
各ワクチンの添付文書に記載されている情報をもとに、現時点で確認されている持続期間を見てみましょう。
2価ワクチン(サーバリックス)
サーバリックスは、HPV16型および18型の感染予防を目的とした2価のワクチンです。
添付文書には、「初回接種から約9.4年間にわたり免疫効果が持続した」とのデータが示されています。
これは、長期的な抗体持続性の評価に基づいたものであり、現時点では追加接種が推奨される根拠は明確には示されていません。
4価ワクチン(ガーダシル)
ガーダシルは、HPV16型・18型に加え、尖圭コンジローマの原因となる6型・11型にも対応する4価のワクチンです。
添付文書では、「初回接種からおよそ6年間の有効性が確認された」と記載されています。ただし、6年を超える期間についての有効性についても研究は継続されており、一部ではそれ以上の持続効果も示唆されています。
9価ワクチン(シルガード9)
最新の9価HPVワクチンであるシルガード9では、HPV16型・18型に加え、31型・33型・45型・52型・58型といった高リスク型にも対応しています。
添付文書や海外の臨床データによると、少なくとも10年から12年程度は効果が維持される可能性があると報告されています。
現在も長期追跡調査が続いており、さらに長期の効果が確認される可能性もあります。
海外の研究からわかる、HPVワクチンの効果が続く期間
海外の研究では、HPVワクチンを接種した人の体の中には、HPVウイルスに対する抗体(HPV16型・18型)が長く残ることがわかっています。
具体的には、15歳〜45歳の人において、接種後30年間は自然感染した人よりも高い抗体の量を保てると予測されています。
ワクチンの効果を得るための接種タイミング
HPVに感染してから子宮頸がんができるまでは、10年以上かかることもあります。
そのため、HPVワクチンの効果は長く続くと考えられており、なるべく早い時期に接種することが大切です。
現在、日本では小学6年生から高校1年生の間に無料で接種が受けられる「定期接種」が実施されています。
対象の方は、できるだけこの期間に接種するのがおすすめです。
期間内に受けられなかった場合も一定の効果が得られます
HPVワクチンは、定期接種の対象年齢を過ぎても接種が可能です。
特に、初回性交渉前に接種することが効果的ですが、性交渉を経験した方でも、まだ感染していない型に対して予防効果があります。
接種を逃してしまった方も、ワクチンを受けることで、今後の感染リスクを減らすことができるため、早めに医師と相談し、接種を検討することをおすすめします。
HPVワクチンの副作用とリスク
HPVワクチンというと副作用が懸念されると考える方も多くいらっしゃいます。
確かにHPVワクチンには副作用の報告もありますが、これは他のワクチンとそれほど違いはありません。
最も多いのは、接種した部位の痛みや腫れ、これらは通常数日で治まります。
また、発熱や頭痛、倦怠感などの軽い症状も報告されていますが、これも一時的なものです。
まれに重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることがありますが、その頻度は非常に低いです。
ワクチンの効果はリスクを上回る
多くの研究で、HPVワクチンは子宮頸がんの予防に非常に効果的であり、得られる利益がリスクを大きく上回ることが証明されています。
特にHPV16型や18型といったがんを引き起こすウイルスに対する予防効果が強く、接種によって子宮頸がんの発症リスクを大幅に減らせます。
世界保健機関(WHO)や日本産婦人科医会も、HPVワクチンの接種を推奨しており、その重要性を強調しています。
HPVワクチンは副作用よりも得られる効果がはるかに大きいため、積極的に接種を受けることが勧められます。
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