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【コラム】子宮頸がんワクチンは受けるべき?
子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐためのワクチンです。
日本では2013年に定期接種が始まりましたが、その後、体調不良を訴える声が相次いだため、国は接種を積極的にすすめることを一時的に中止していました。
その後の調査や研究により、ワクチンの効果は高く、副反応のリスクよりもメリットが大きいと判断されました。
そして2022年4月から、国による積極的な接種の呼びかけが再開されています。
では、HPVワクチンは本当に受けるべきなのでしょうか?
また、「検診を受けていれば、ワクチンは必要ないのでは?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。
今回は、そんなHPVワクチンの役割や必要性について、わかりやすくご紹介します。
HPVワクチンの安全性について
HPVワクチンに限らず、すべての医療には効果と副作用やリスクがあります。
これはどんな医療でも同じで、「まったくリスクのない治療」は存在しません。
例えば注射を打った後に腕が少し腫れたり、痛くなったりすることも、立派な副反応のひとつです。
ワクチンに関して接種が推奨されるのは、効果がリスクを上回ると考えられているときです。
HPVワクチンについても、「受ければ絶対に安全」と思い込むのではなく、「危ないから絶対に受けない」と決めつけるのでもなく、ワクチンのメリットとリスクを正しく知った上で、自分や家族にとってどうするのが良いかを考えることが大切です。
ワクチンと検診、どちらも大切な子宮頸がん予防
子宮頸がんを予防するためには、HPVワクチンの接種と定期的な子宮頸がん検診の両方を受けることが大切です。
「ワクチンを打ったから検診は必要ない」「検診を受けるからワクチンはいらない」と考える人もいるかもしれませんが、それでは十分な予防とは言えません。
これら2つには、それぞれ違った役割があるためです。
ワクチンの役割
子宮頸がんの多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスへの感染が原因です。HPVには約40種類のタイプがあり、そのうち子宮頸がんと深く関係しているのは、約13〜14種類です。
これまで日本で使われていたHPVワクチンでは、特にリスクが高いとされる「16型」「18型」という2つのタイプしか予防できませんでした。
しかし、最近では「9価(きゅうか)ワクチン」という新しいタイプが登場し、16型・18型に加えて、さらに5種類(31型・33型・45型・52型・58型)のHPVもカバーできるようになりました。
これにより、子宮頸がんの原因の約9割をカバーできると期待されています。
検診の役割
一方で、子宮頸がん検診は「早期発見」が目的です。
ワクチンを打っても、すでに感染していたり、ワクチンでカバーしきれないタイプのHPVが原因でがんになったりすこともあります。
現在、日本で行われている主な検診方法は「細胞診」と呼ばれる検査で、子宮頸部から細胞を採取し、がんやがんになる手前の状態(前がん病変)があるかを調べます。
ただし、この検査も完璧ではなく、見逃しが起きる可能性があると言われています。
組み合わせることで予防効果が高まる
HPVワクチンも検診も、それぞれに限界があります。
だからこそ、両方を組み合わせることでお互いを補い合い、より高い予防効果が期待できるのです。
ワクチンで感染そのものを防ぎ、検診で早期に異常を見つけて治療につなげる。
この2つのアプローチを同時に行うことで、子宮頸がんで命を落とすリスクを大きく減らすことができます。
HPVワクチンはいつ、誰が受けるべき?
HPVワクチンは、初めて性交渉を経験する前の女性に接種するのが最も効果的とされています。
ウイルスに感染する前に打つことで、高い予防効果が期待できるからです。
現在、日本では小学6年生から高校1年生相当の女の子が公費(無料)で接種できるようになっています。
性交渉の経験にかかわらず接種が推奨されています
よくある誤解のひとつに、「性交渉をしたことがあるなら、ワクチンは効果がない」というものがあります。
しかし、これは正しくありません。
確かに、ワクチンはすでに感染しているウイルスには効きません。
でも、まだ感染していないタイプのHPVにはこれからの感染を予防する効果があります。
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、45歳までの女性にも一定の予防効果があるとされています。
性交渉の回数も大きな問題ではありません
「性経験が少ないから、ワクチンは必要ない」と考える人もいるかもしれませんが、これも注意が必要です。
HPVは一度の性交渉でも感染する可能性があります。
実際に、性交渉のある女性の50〜80%がHPVに一時的に感染した経験があるという報告もあります。
つまり、HPVは誰にとっても身近なウイルスであり、回数や相手の数に関係なく自分を守る手段としてHPVワクチンを活用することが大切です。
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